サザエさんの生みの親、長谷川町子のお墓を訪ねて
日本の国民的漫画『サザエさん』の作者として広く知られる長谷川町子さん。その功績は、日本の家庭文化や日常風景に深く根づいています。彼女が静かに眠るのは、緑豊かな東京都府中市の多磨霊園。その静謐な佇まいとともに、墓所の様子をご紹介します。

多磨霊園の一角にひっそりと
青空と緑に包まれた並木道。穏やかな時間が流れるこの通りの一角に、長谷川家のお墓はあります。区画は「10区1種4側3番」。両脇を生い茂る植栽に囲まれた階段を上ると、落ち着いた雰囲気の墓所へと導かれます。

墓石に刻まれた“十字架”の意味
墓石正面には「長谷川家」と刻まれており、その上部には十字架の彫刻が見られます。長谷川家がキリスト教徒であることがうかがえるデザインで、他の墓所とはまた違った趣があります。町子さん個人の名は刻まれていませんが、代々の長谷川家のお墓として静かにたたずんでいます。

猫好きの先生のお墓らしく、猫が住み着いているとの噂を聞いたのですが、そのような様子はありませんでした。個人的に猫好きなのですが、多磨霊園内で猫を見たことは一度もありません。管理が行き届いている証拠です。

長谷川町子さんとは
長谷川町子(はせがわ まちこ)さんは1920年、佐賀県に生まれ、福岡・東京で育ちました。日本初の女性プロ漫画家として活動を開始し、戦後間もない1946年から新聞連載をスタートさせた『サザエさん』は、たちまち国民的人気作品となります。

何気ない日常のやりとりや、家族のあたたかさ、時代に応じた社会風刺を交えながら、長年にわたり多くの人々に笑いと安心感を届けてきました。1992年に亡くなった際には、文化勲章を受章した数少ない漫画家の一人として、その偉大な功績が讃えられています。

長谷川町子遺骨盗難事件とは
1993年3月、東京都府中市の多磨霊園にある長谷川家の墓所から、長谷川町子さんの遺骨が盗まれるという衝撃的な事件が起きました。
翌月、姉の毬子さんのもとに「町子の遺骨を返してほしければ金を出せ」という脅迫状が届き、報道を通じて全国に知られることとなります。
しかし事件発生から11日後の4月5日、東京都渋谷区のJR渋谷駅構内にあるコインロッカーから、町子さんの遺骨が無事に発見されました。
こうして遺骨は長谷川家に戻り、事件は幕を閉じましたが、動機などは明らかにならず、多くの謎を残しました。
この痛ましくも奇怪な出来事は、町子さんが亡くなった後もなお、人々の関心を集め続ける存在であったことを物語っています。

サザエさんバス事件とは?
1970年代、立川バスの車体にサザエさん一家の顔が無断で描かれたことをめぐり、長谷川町子さんが「著作権の侵害」として訴訟を起こしました。

争点はキャラクターの複製権にあたるかどうか。
裁判では、東京地裁が「キャラクターの容姿や性格も著作物として保護される」と判断し、立川バスに約1,824万円の損害賠償を命じました。

この判決は、日本で初めて「キャラクターの著作権」が認められた事例とされ、企業や社会に著作権意識を広めるきっかけとなりました。
墓所の様子と現在の姿
かつては多くのファンが訪れていたとされる墓所ですが、植栽がかなり生い茂り、少し見つけづらい印象です。インターネット上にはさまざまな時期の墓所の写真も見られ、時代ごとの管理状況をうかがい知ることができますが、現在はあまり植木のお手入れがされていないようで、まるで静かな森の中のような雰囲気です。
静けさの中に自然の息吹を感じられるこの場所は、まるで『サザエさん』の舞台のように、どこか懐かしく心安らぐ空間です。

「たまのや」より
「たまのや」では、多磨霊園限定で『お墓参り代行・清掃サービス』を行っております。ご高齢や遠方の方など、さまざまな事情でお墓参りが難しい方に代わり、心を込めて清掃・供花などの対応をさせていただきます。
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