岡本太郎のお墓を訪ねて|多磨霊園で出会う芸術と祈りの空間

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岡本太郎のお墓を訪ねて|多磨霊園 芸術家の眠る場所

東京都府中市にある多磨霊園は、日本で最も広い都立霊園であり、多くの著名人が眠る場所としても知られています。その中でも特に目を引くのが、芸術家・岡本太郎のお墓です。

岡本太郎とは?

岡本太郎(おかもと たろう、1911年〜1996年)は、日本を代表する前衛芸術家・画家・彫刻家であり、数々の名言とともに、芸術界のみならず一般社会にも大きな影響を与えた人物です。「芸術は爆発だ!」岡本太郎と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、この言葉。

「芸術は、内に秘めるものではなく、生命力そのもの。
爆発するように外に向かって放たれるべきだ。」

という彼の信念を象徴する言葉であり、
彼の作品にも、この精神が強く表れています。

多磨霊園にあるお墓の場所と特徴

岡本太郎のお墓は、多磨霊園の一角『16区1種17側3番』にあります。
また、彼の母・岡本かの子、父・岡本一平の墓石も同敷地内にあり、岡本家の芸術の系譜が並ぶ一角となっています。
周囲には木々が生い茂り、静けさと荘厳さが同居する空間です。

「芸術は爆発だ」と叫んだ男が、今もなおその魂を静かに宿している…そんな雰囲気を感じられる場所です。

16区1種17側3番

アートと魂が融合した墓所デザイン

まず目に飛び込んでくるのは、あの「太陽の塔」を思わせるようなユニークで力強い彫刻
こちらは「午後の日」という1967年に作られたブロンズ製の彫刻作品です。これぞ岡本太郎という事でパートナー(岡本敏子)が選ばれて墓石にしたようです。

正面には大きく「岡本太郎」の名前。

川端康成による追悼碑

岡本敏子 岡本太郎

川端康成による追悼碑

この墓所には、生前深い親交があった川端康成による追悼碑もあり、読むだけで心を揺さぶられます。

「岡本一平、かの子、太郎の一家は、私になつかしい家族であるが、また日本では全くたぐい稀な家族であった。私は三人をひとりひとりとして尊敬した以上に、三人を一つの家族として尊敬した。この家族のありように私はしばしば感動し、時には讃仰した。
 一平氏はかの子氏を聖観音とも見たが、そうするとこの一家は聖家族でもあろうか。あるいはそうであろうと私は思っている。家族というもの、天婦親子という結びつきの生きようについて考える時、私はいつも必ず岡本一家を一つの手本として、一方に置く。
 この三人は日本人の家族としてはまことに珍しく、お互を高く生かし合いながら、お互が高く生きた。深く豊かに愛し敬い合って、三人がそれぞれ成長した。
 古い家族制度がこわれ、人々が家での生きように惑っている今日、岡本一家の記録は殊に尊い。この大肯定の泉は世を温めるであろう。
  川端康成  「母の手紙」序より」

岡本太郎の原点、両親の墓所に見る芸術の継承

同じ敷地内にある2つの墓石は、岡本太郎のご両親である岡本一平氏(右)と岡本かの子氏(左)のお墓です。
ご両親の墓石は、まるで向かい合うように配置されており、まさに芸術一家の“対話”の場のようにも感じられます。

石碑には「一平」と彫られた堂々たる墓石が立ち、上には岡本太郎の代表的モチーフを思わせる抽象的な彫刻が載っています。
笑っているような、何かを見つめているような、特徴的な顔の造形は、見る者に強烈な印象を与えます。

岡本一平氏は、明治・大正期に活躍した風刺漫画家・画家であり、漫画という表現を日本に広めた先駆者的存在です。その自由な発想と芸術への情熱は、息子・太郎にも強い影響を与えました。

対面するように立つのは、文学者であり仏教研究家でもあった岡本かの子氏の墓石です。こちらは仏像風の立像を彫刻した石碑になっており、慈愛に満ちた姿で立っています。

台座には「岡本かの子」と刻まれており、彼女の詩情豊かで強い精神性を感じさせます。生前、仏教や宗教的な思想に傾倒していた彼女らしい、落ち着いた雰囲気が漂います。

この2つの墓石は、表現こそ対照的ですが、岡本家という芸術一家を象徴するような場所となっています。
まるで時を越えて、父と母が向かい合い語り合っているかのようです。

「たまのや」は、墓所のお参り・清掃を代行いたします

当サイト「たまのや」お墓の清掃代行・お参り代行も承っております。
作業後には写真でのご報告付きなので、安心してご依頼いただけます。

特に夏場の多磨霊園は直射日光が厳しく、ご高齢の方や遠方の方には過酷な環境です。「たまのや」では現地スタッフが真心込めてお墓を清掃・お参りし、ご家族の代わりに写真付きでご報告いたします。

🌐 詳しくはこちら → https://tamano-ya.jp/

まとめ

岡本太郎の墓所は、芸術と死が分かちがたく融合する、唯一無二の空間でした。
多磨霊園に眠る数々の著名人の中でも、ひときわ「生きている」ように感じられる場所。
もし多磨霊園を訪れる機会があれば、ぜひ一度足を運んでみてください。

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